一般社団法人 北海道茶道文化振興協会

今月茶道具 JAPANESE TEA UTENSIL

紫野焼香合 後藤瑞厳書付

赤楽の優しい朱色がとても手に馴染み、何とも温かい気持ちになります。

また、真ん中に書かれた金という文字がなんだか金メダルを思わせ、来年行われる東京オリンピック・パラリンピックで選手が、国民が歓喜している姿が思い起こされます。

香合が茶道に取り入れられた初期の頃は金器や銀器、漆器などが用いられていたようです。桃山時代になり、利休様が楽焼の香合を用いたのが焼物香合のはじまりと言われています。

この香合の正面に書かれている「金」という文字と楽焼が、香合が使われ始めた頃に好まれた材質の金と、利休様が用いた楽焼の香合とが溶け合って融合したような作品に感じます。

そして紫野焼は1804年~1818年ころにかけて大徳寺門前あぶり餅屋の主人が、時の大徳寺の長松月庵宙宝和尚の指導の下で焼かれ、紫野大徳寺の御用窯になったことが始まりとされています。

1818年に一度途絶えてしまったのですが、昭和20年代後半に、時の大徳寺管長「小田雪窓老師」の命により、大徳寺三玄院の誡堂和尚の指導の下で数年間、紫野焼は復興再開されました。

一度途絶えながらも復興した紫野焼の技術で作られたこの貴重な香合と出会えることができたのは、大変感慨深いものがあります。

今月の茶道具202012
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