過去のご挨拶

会報誌No.9より

心の中のサンタさん

十二月一八日に札幌テレビ塔に於いて行いましたクリスマス茶会にご参会くださいました皆様、子どもたちのプレゼントのためにご寄付してくださいました皆様に深い感謝とともに御礼申し上げます。

親と暮らせない子や親がいない子どもたちが集まる児童養護施設に二十五日のクリスマス日にサンタとしてプレゼントを届けに行きました。

諸事情により一人ひとりの子どもたちにプレゼントを手渡しすることはできませんでした。

それでも、子どもたちが「私のところにもサンタさんがきてくれた」と思ってくれたなら、本望です。

サンタクロースの由来は、4世紀の東ローマ帝国小アジアのシュラ(現トルコ)に実在したカトリック教会司教であった聖ニコラウスだとされています。

彼は、修道院に入る前に財産を処分する必要がありました。

そんな時、貧しい家庭の3人娘の話を聞きます。

娘たちは、あまりの貧しさに身売りをする一歩手前までいっていました。

それを哀れんだ聖ニコラウスは夜、フードで顔を隠し、密かに娘たちのもとに訪れて金貨を靴に投げ込みます。

「誰がこのようなことをしてくれるのか」と思った父親は、聖ニコラウスを捕まえることを決意します。

3度目の夜に聖ニコラウスは捕まりましたが、自分が金貨を入れていたことを口外せぬように父親に頼み、去りました。

しかし、この話は噂として広がり語り継がれようになりました。

靴下にプレゼントを入れるというクリスマスの風習も聖ニコラウスが靴に金貨を入れたから始まったとされています。

「命をなげうって人々を幸せにする使命」を担う司教の服は「血」を表す赤色です。

このことから、サンタクロースの服の色は赤色だとされています。

サンタさんの話と相通じるものに、捨身飼虎という物語があります。

ある日、インドの慈悲深き王子が、森の中で餓死寸前の虎の親子を見つけました。

飢のあまりに愛しいはずの我が子を食べようとしていた、母虎を前にした王子は「私たち人は、自分の身を愛するばかりで、他を愛し、恵むことを知らない。心優れた人は、大慈悲の心をもってわが身を忘れて他を救おうとするものである。私は何度生まれ変わっても身体は腐り爛れるだけだ。 この身は変わりゆくもので、常に求めても満たしにくく、またこれを保ち難い。今この時、私はこの身を捨て、飢えている虎の親子を救ってあげようと思う」と周りの人達に話しました。そして、決心を定めた王子は少しも躊躇することなく進んで虎に身を委ねました。

飢えている虎は直ちに飛びかかり王子を噛み尽くしました。

あとは、肉片や骨が辺りに散らばるのみでした。

慈愛の聖ニコラウスも慈悲深き王子もともに、身をもってして、他を救おうとしています。

私たち大人は、サンタの存在をいる・いないと分けて考えてしまいます。

時には、それを議論の種として論じ合うことさえもあります。

しかしながら、サンタさんは、私たちの決心の次第により生まれるものではないでしょうか。

目の前に飢えた人がいれば、貧しい人がいれば放っておけないのが人の真心ではないでしょうか。

この身、この命をもってして、自分は何を成していくのか。

成すことを決められるのは他でもなく、私たちが本来持っているはずの胸の覚悟と身を擲つ勇気です。

人生や命への捨身の覚悟です。

人は、どうしても自分のみを愛し、大切にしてしまいがちです。

身が惜しい、金が惜しい、年が惜しいと嘆き悲しみ、あれが、これが足りないと苦しむばかりです。

しかしながら、人を人たらしめるものは、飢えた動物のように惜しい、足りないと嘆き悲しむことではなく、自分を本当の意味で愛し、人としての大事を忘れず、他をも慈しみ、愛することです。

立派な人とは、ことを捨身で成すことを覚悟している者です。

目の前にいる人の苦悩を理解し、救わんとする慈悲の心を持つ者です。

命や胸の覚悟をもって、他にあたり、人生を歩まんとする者です。

和やかな顔と愛のある言葉をもって、世を歩きたいと願う者です。

死への覚悟を生きているうちに得ようと励む者です。

こんなところに、私たち日本人は美しさを感じ、心惹かれるのではないでしょうか。

これから先、日本に暮らす子どもたちの貧困や格差はさらにひどくなり、広がることが予想されています。

ご飯が食べられない子や教育を受けられない子どもたちが現在も溢れています。

私たち大人のできることは、そういった子どもたちが日本からいなくなる未来を作っていこうと覚悟を持ち励むことです。

輝かしい日本を、心美しい日本をふたたび作っていくことを志すことです。

そんな日本を作るためには、大人である私たち一人一人が未来への責任を全うしなければいけません。

身が貧しくとも、心まで貧しくなってはいけません。

和やかで愛が溢れている日本を作るために、私たちは歩み続けましょう。

お茶の心をもって。

日頃よりお支えしてくださる会員の皆様、菩薩様のあなたに感謝を捧げ。

合掌

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