過去のご挨拶

会報誌No.1より

世界を築く~日々是茶福~

茶の湯の場において経験や知恵、知識等の構成要素からあらゆる世界観を創造することが可能な人の事を茶人と呼べるのではないでしょうか。

世の中を生きている私たちは自ら得た知識、知恵、経験知や歩んだ道により自分なりの心を有しては世界を絶え間なく作っております。時にそれは他に押し付けたり、違う世界観に対する嫌悪や否定から争いを生んでしまうことも人類誕生から一貫した歴史上の証明事項であります。私は人類学や歴史学の先生ではないので専門的なことは事実上の真実として置いておきます。 

ことに茶の湯の世界の住人たる茶人は茶事において掛物にはじまり、色々な道具を組んでは想像した世界観を現世に現出させてはその世界に人を招き、ひと時共に過ごします。客も世界を探索しては知り、共にその世界の完成たる終着点まで歩みます。その時はそのときにしか存在しないかけがえの無い世界であり、茶事が終わればその世界はこの世から儚く消えてゆきます。生あるなら滅が世の必然であるが故なのでしょう。

だからこそ「惜別」の礼が有るのだと思います。その世界を作った亭主と共に織りなしたお客にそして二度と訪れることのない時間軸と世界を噛みしめるかのように茶人同士は別れを惜しみます。

茶人に限らず人は世界を創造できます。「完成」されたもの求めて人類はこの作業を幾星霜繰り返します。想像するとゾッとするような無限の果てしなさを感じます。人が本質的に求める世界は変わることなくただ廻り、完成されている自然物でありますが。

全ては零に廻り、丸を描いては丸に戻るかのように果てしなく、そして続きます。真っ白なキャンパスに丸を描き、世界を描く。そのとなりに三角を描き世界を描く。また、真ん丸に時には少し歪に繰り返します。その絶え間のない作業こそ未来の世界づくりです。納得のいくまで、納得のいくまで。

茶の湯の世界ではあらゆる考えや世界を受け入れてはそのよいところを吸収して発展してきた歴史があります。否定はしないのです。互いに高めあい、古に学び茶の世界を「今」に作り、未来に洗練したものを残します。

過去から現在に至るまでの系譜で洗練されている世界の門ににじり入り、心は純粋無垢にそこに広がる茶の世界を自然に楽しみ、互いに笑顔で幸せになることをそしてゆくは未来の子供達に会員の皆様と作り高め形成されたお茶の世界を残せることを切に願います。日々是茶福と。

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