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美味しいお茶の点て方 薄茶編

美味しいお茶の点て方を知りたい。

なぜ上手く点てられないのかな。

抹茶の旨味成分の理解を深めたい。

美味しくないお茶で自信が喪失する。

子供、大人でお茶に対する味の理解が異なるのは何故だろう。

美味しいお茶の点て方に苦労している声があります。

私はある時、少年から美味しいお茶の点て方を尋ねられました。その時にその少年に答えたことに+して今日お話出来ればと思います。

美味しいお茶については個人の味の好みや主観的な要素をはらんでいるため一概には言えませんが、一定の理論化された点て方にその構成する主成分の理解により達成可能であると思われます。

お茶の美味しさを左右する主成分はアミノ酸、カテキン、カフェインの三成分であります。

では、お茶の三つの主成分について先に記しておきます。

・お茶の旨味成分アミノ酸 苦味渋味のカテキン類 興奮作用持つカフェイン

お茶が美味しいと感じる人の味覚に大いに機能しているのがアミノ酸であります。

その中でもテアニンがアミノ酸全体の約50%を占めており、その他アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸ナトリウム、アルギニン、セリン、 GABA など凡そ15種類ほどのアミノ酸がお茶の成分として構成されていると言われています。

その中でも一番含有されているテアニンは単体の場合さほどの旨味を出しませんが、他のアミノ酸と結合することにより旨味を増長させているのではないかとも言われており、また、カテキン類、カフェインとの相性が良いとされています。懐石などで出される煮物椀の昆布出汁のアルギニン酸も単体では旨味が出ませんが、昆布のアルギニン酸と鰹節のイノシン酸が結合すると旨味が出るようにテアニンも他の成分との相乗により旨味が出てくるのだと思われます。

伊藤園の中央研究所の研究によるとテアニンを摂取すると人がリラックスしている状態の時に多く出現するα波が上昇するということが、テアニンが脳の神経細胞を保護する働きを持つことを研究した細胞実験を行った結果、わかったとされています。

また、旨味に貢献しているアミノ酸としてアルギニンがあるとされています。単体の摂取の場合は苦味が強いとされているアルギニンも最近の研究で、他のアミノ酸と相乗効果があり、その苦味を抑え、旨味成分を増幅しているのではないかと言われます。アルギニンが多く含まれると美味しいお茶になるとされています。

カテキン類はお茶のほろ苦い味や渋味に影響を及ぼす成分であります。人の五味のなかでも、苦味や渋味は現在でも大人の味わいとして好まれるように、特に成人した人間に対してその効力を発揮しているように感じます。良薬は口に苦しと申すように、本来苦いとする飲料物(お茶)は薬として古今より見られていました。お茶を薬とする見方は健康効果が高いとする意識に結び付き、安心作用として機能するのだと理解できます。

子供の時は味を大人以上に多彩に求めます。子供の時に濃い味、甘味や酸っぱいもの、大味を好み、だんだんと年を経て味が薄いものや苦いものと変化していきます。反対に濃い塩味を好む人もいます。

何故そのようになるのかと申しますと、人の感じる味覚は大別して、甘味、酸味、苦味、塩味の四種類とされています。これらの味わいは舌にある味蕾センサーで感じています。年を経るにつれ、味蕾細胞が減少し、感度が鈍り、少しづつ味をわかりづらく変化していきます。四種類の味わいの中でも塩味が一般では感じられなくなるとされています。

そのため大人子供は個人の味蕾の量やその感度によりお茶に対する味わいの変化が起こります。

四種類の味覚に「旨味」を加えて五種類とします。その旨味を感じるポイントは「複合的に味わいが感じられるか」どうかと言えます。そのためお茶にトータルでみた深い味、所謂、ほろ苦さに渋味、甘味を感じ、それらまとめて旨いと判断しているのだと言えます。旨味の主成分はアミノ酸でありますが、単体だと物足りなさを感じてしまい、美味しいとは見られないでしょう。その中に渋味に苦味のカテキン類とカフェインが加わりバランスが保たれます。

大人は深い味を好みます。深い味とは一つのものにあらゆる味を感じられるか否かであります。

五種類に美味を加えて六種にしましょう。美しき味、美味しいと書き、美味です。

カフェインは興奮作用を脳に及ぼすことは周知の事実であります。その興奮作用を抑える働きはあるとされているのが、アミノ酸のテアニンであります。そのためお茶を飲んだらほっとするのも、テアニンのα波が勝るためとも言えます。また、カフェインは60℃~70℃ではそれほど溶け出すことはなく、80℃~から大きく溶け出します。

ここからは大切な実践理論(お茶の美味しい点て方)を成分理解の上、僭越ながら私の一つの解としてお話をいたします。

お茶の粒子(成分)は熱湯が加わることで香気成分(シス‐3‐ヘキセナールやジメチルスルフィド)などの茶葉アルコールを発生させます。そしてテアニンがα波をその香気に乗せリラックスを心身に起こさせ、カフェイン結合を発生させます。そのためお茶を点てる際にリラックスのできる良い香りが立つのもこのためと言えます。

千利休も申したように、「湯は沸くように」とする言葉からも分かるように熱湯が香気成分を湯気に乗せ良い香り立つ、美味しそうなお茶の形成に大きく作用しますので熱湯が適しているといえます。また、熱湯で入れるとお茶成分が活性化しやすいため美味しいお茶の一歩になります。

カフェインの活性化基準は80℃~でありますが、飲んだ時の苦味成分や興奮作用はテアニンのα波と結合することにより抑えられますので大丈夫です。カフェインはお湯の温度が低いほど甘く、高いほど苦味を増やします。

お茶の粒子はお湯が加わることで塊上に結合を起こし、構成するお茶成分を美味いように統合させていきます。カテキン類やカフェイン、アミノ酸結合を起こします。

そのお茶成分の当初段階の大きな塊を解除して、バランスよく上手く結合させるために茶筅を振ります。茶の気(香気や味)を逃がさないため、含んだ時に湯を服良きようにするために茶筅の振る回数は10回~15回が適していると言えます。茶筅を振る速度は個人感覚として遅すぎないが目安となります。

また、お茶の量は一人当たり1.5~2gほどで湯の量は約60mlとされていますが、少し含んだ時にとろみを感じられるほどの口当たりの方が旨味を感じやすくなり、人の味覚の構造上、とろみある方が美味しく感じるためお茶の量は少々多い方が良いと思われます。お湯の量は少ないほど口当たり良く、多いほどサラサラとなります。お茶お湯ともにその時のお菓子や好みにより合わせて調整します。

茶筅を振る最初の1回~10回は一定の遅すぎない速度で大きく振り、11回ほどの時にはゆっくりと振りを抑えつつ茶筅を振るととろみが生まれます。

侘びの宗旦と称せられた千宗旦はお茶にお湯が程良くおさまれば三回か四回ほど振るのみでお茶を点て、常に茶筅を振る回数も少なかったと言われています。

泡の形成は好みによりますが、お茶の苦味成分の一つでもあるサポニン(お茶泡形成の主成分)やカテキン、カフェイン等を緩やかにしたい場合は泡をたくさんにして、二層に分離させると、カフェインやカテキン類がサポニンと上手く結合して泡上部に逃げ、飲みやすいお茶に点てられます。泡を良く点てる場合は茶筅を立てるように持ち、早く振ることでまず大きな泡が生まれます。その後、緩やかに優しく振り、細かい泡になるように調整すると綺麗な細かい泡が発生します。

お茶本来の味を楽しむには泡は茶碗に半分かそれより少しだけ多くに留めるのが良いと思います。お茶を良く味わうには泡が少なめが良きでございます。

紅茶専用のカップの型である口が広いピオニーは紅茶をよく香らせ、含んだ時に湯が熱すぎないようにできています。その形で考えた場合、抹茶椀も口が広く、薄いため良きに香りと湯の温度になります。

美味しいお茶を点てるには水も大切であります。水道水などは最初カルキが微量含まれており、臭みもあるため良く沸かし除去する必要があります。炭は水を浄化する作用があり、臭いやカルキ、トリハロメタンも除去してくれます。そのためミネラルウォーターのような水を作る場合、良く洗った炭を水の中に入れて後日使うなどの方法が良いと思います。ミネラルウォーターを使う場合は日本茶の成分を優しくする軟水が抹茶には適しています。硬水だとカルシウム酸が多く含まれるため、お茶の味をストレートに感じやすくなり苦味成分を増長させてしまい、茶の色も黒くなります。

美味しいお茶を点てるのにやはり一番大切なのは茶人の心とその臨機応変な働き、努力精進にかかっています。

人や年齢によりお茶の好みや湯の温度の好き嫌いも違うため、その人を構成する要素や気持ち、好みを瞬時に理解するだけの心の働きも茶人には必要であります。

そして毎日、定期的に自分にも相手にも点て続けることが美味しいお茶を点てられる秘訣であります。まずは、「自分のお茶美味しくない、美味しいお茶を相手にも点てたい!飲みたい!」とする気持ちを湧き起こし、美味しいお茶出せるようになろうとする努力精進にゆっくりでも一生励んでいたらきっと美味しいお茶に叶うはずであります。

点てる人によりお茶の味が全然違うとする意もここにあります。お茶は心であります故。

歴の長く、お茶を点て続けてこられた先生のお茶は美味しいのもこのためであると思います。

貴方も好む好まざる好き嫌い関係なくお茶をどうか点て続けてください。すぐに美味しいお茶が成就されるはずであります。

稚拙ながら一定の理論化されたものは貴方にとっての成就一助になることを願います。

今日のお話と少し関係のある別記事「茶の湯ある日常茶飯事」「今日から始める健康茶活~抹茶の効能~」も合わせて読んでいただければ幸いです。

術も無く ただひたすらに茶を点てて 開き開くは人心

佐々木宗芯

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