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美味しいお茶とは

お茶を成すにあたり、大切にするべき目的は「おいしいお茶を点てること」に尽きます。

おいしいお茶を点てることこそが、お茶の稽古をする最大の目的とも言えます。

では、どうしたら美味しいお茶を点てることができるのか。

先に薄茶についてお話しします。

お茶の量は一人当たり平均1.52gほどで湯の量は約60mlとされています。

しかしながら、お茶を口に含んだ時、お茶の持つ本来のとろみを少し感じられるほどの口当たりの方が旨味を感じやすくなります。

人は味覚や舌で少しのとろみを味わえる方が美味しいと感じるためです。そのためお茶の量は少々多い方が良いと思われます。

薄茶は茶杓で一杓半と入れます。

はじめの一杓を入れる時、お茶を少々たっぷりとすくい、残る半でお茶の量を程よく調整するのが良いかと思います。

しかし、過ぎたるとろみはよろしくありません。

程よい量加減と湯加減でお茶を点てることが肝心です。

お湯の量がお茶の量と丁度よく合わさり、程良いとお茶本来の旨味や甘味をよく感じられ、口当たりが良くなります。美味しいお茶となります。

湯の程よさがわからない場合は、少なめからはじめて、少しずつ湯の量を多くして、丁度良い湯の加減を自分なりに探究してみると良いでしょう。

湯は多いほど飲みやすいサラサラとなります。

お茶とお湯の量はその時のお菓子やその人、その人の好みに合わせて調整します。

茶筅を振る最初の1回~10回は一定の遅すぎない速度で少し大きく振り、11回ほどの時からゆっくりと振りを抑えつつ茶筅を振るとお茶にとろみが生まれます。

カフェインが苦手な方もおりますので、カフェインについて触れます。

カフェインの活性化基準は80~であります。

そのため、カフェインの活性化を抑えてお茶を点てる場合、釜に水を加えて点てると良いと思われます。

カフェインはお湯の温度が低いほど不活性化(甘く)して、高いほど(活性化)苦味を増やします。

夜お茶を飲む時は温度を低くすると良いでしょう。

お茶の粒子はお湯が加わることで塊上に結合を起こし、構成するお茶成分を美味いように統合させていきます。

お茶の成分であるカテキン類やカフェイン、アミノ酸結合を起こします。

お茶成分のはじめの段階の大きな塊を解除して、成分をバランスよく結合させるために茶筅を振ります。

茶の気(香気や味)を逃さず、湯を服良きようにするためには茶筅の振る回数は10回~15回が適していると言えます。

茶筅を振る速度は個人感覚として遅すぎないが目安となります。

また、細かく早く茶筅を振るのではなく、茶筅を少し傾げた状態で遅過ぎない程度に大きく振ると良いと思われます。

大きく振るといいましても、波が立つほど振りはしません。

また、細かく早く振らずとも、お茶の粒子と湯とがしっかり結合し、ダマになったりはしません。

侘びの宗旦と称せられた千宗旦はお茶にお湯が程良くおさまれば三回か四回ほど振るのみでお茶を点て、常に茶筅を振る回数も少なかったと言われています。

泡の形成は好みによりますが、お茶の苦味成分の一つでもあるサポニン(お茶泡形成の主成分)やカテキン、カフェイン等を緩やかにしたい場合は泡をたくさんにして、二層に分離させると、カフェインやカテキン類がサポニンと上手く結合して泡上部に逃げ、飲みやすいお茶に点てられます。

泡をたくさんにして点てる場合は茶筅を立てるように持ち、早く細かく振ることでまず大きな泡が生まれます。

その後、緩やかに優しく大きく振り、細かい泡になるように調整すると綺麗な細かい泡が発生します。

お茶本来の味を楽しむには泡は茶碗に池を作るように、半分かそれより少しだけ多くに留めるのが良いと思います。

お茶の本来の茶味を味わうには泡が少なめが良きでございます。

もっと知りたい方は成分についても詳しく記している過去のブログ記事「美味しいお茶の点て方 薄茶編」をご覧ください。

濃茶についてお話しします。

濃茶を美味しく点てるということは、お茶人にとって最も重要な課題であります。

その濃茶の美味しい練り方について私なりの見解をこれからお話しします。

濃茶はゆっくりとしか落ちてこないほど濃く点てても、濃茶自体に旨みがありますので、濃くても良いと思われます。

濃茶は茶碗に一人三杓分を入れますが、一杓にたっぷりお茶を取り、茶碗に入れても良いでしょう。

しかし、まったく落ちてこないほど濃いというのも考えものでございます。

また、濃く点てすぎたと思ったら、お湯を三度入れましょう。

お茶の第一の目的は形ではなく、いかにして美味しいお茶を「今の相手様に差し出せるか」です。

そのため、量加減、湯加減ともにはじめからしっかり見定めて練る必要があります。

では、濃茶の点て方をお話しします。

お茶の粉末に湯を注いだ時、その乾いたお茶の粒子に対し、茶筅で強制的に早く強く動かすことなく、自然と茶の粒子が湯に浸って溶けるようにして、練るのが良いと思われます。

湯が浸っている茶の部分より、茶筅を入れて、そこよりゆっくりと動かし、全体に湯が行き渡るようにします。

この時、茶筅のみで湯を行き渡らせるようとするのではなく、湯で浸っている部分のお茶が別の乾いたお茶の粒子に結合する様に茶筅を優しく動かします。

お茶とお茶が合わさるようにするのです。

湯を全体に浸らせ、次は丸を書くように茶筅を扱います。この時、外より中央へと茶筅を向かい回すように動かします。

丸の層が何層にもあるかのように回しながら、時にリの形に茶筅を動かしていきます。

この時、茶の塊が見えるかと思います。

これは、水に包まれて塊のように見えるだけなので、お茶の粒子間での結晶化は起こりません。

湯と茶筅の力によりすぐに溶け合っていきます。

それでも、塊が気になるようでしたら塊のある部分を茶筅で潰しながらサラサラと振れば良いと思われます。

一度目の時、これらの塊を充分に壊して溶いておきます。

二度目のお湯を入れて、濃さを調整する様にします。

二度目の湯を入れた時は塊にならず、すぐに溶けていきます。

もしも、茶筅の穂先の中にお茶が詰まってしまった場合は、茶筅に湯を落とすか、入れた湯のところで軽く茶筅を振って落とします。

お茶が完全に湯に溶け合った時、お客さんの人数に合わせて、湯を加えます。

この時のお湯の量は、一人につきお茶を一すすり分ほどで良いでしょう。

湯の状態やお茶の状態、前に加えた湯の量にも配慮して見定め慎重に行います。

二度目の湯を入れ、茶筅を振る時、大きくサラサラと振るとお茶が均等になり、ややとろみの少ないサラッとしたものになります。

次に、茶筅を外から中央に向かいまわすように丸く使います。液を茶筅で引っ張るように静かにまわすと、お茶のとろみが増し、まったりとした具合の濃茶となります。

その時に合わせて点て方を変えてみると良いと思われます。

美味しいお茶を点てるにあたり水が大切であります。

水道水などは最初カルキが微量含まれており、臭みもあるため良く沸かし除去する必要があります。

炭は水を浄化する作用があり、臭いやカルキ、トリハロメタンも除去してくれます。

そのためミネラルウォーターのような水を作る場合、良く洗った炭を水の中に入れて後日使うなどの方法が良いと思います。

ミネラルウォーターを使う場合は日本茶の成分を優しくする軟水が抹茶には適しています。

硬水だとカルシウム酸が多く含まれるため、お茶の味をストレートに感じやすくなり苦味成分を増長させてしまい、茶の色も黒くなります。

美味しいお茶といいましても、人それぞれの主観に任せるところがあります。

そのため、本当に美味しいと自分でも思えるようなお茶を相手様に出せるようになるためには、つねの稽古に励み、自分でもよくお茶を点てて、自分なりに美味しいお茶というものを探究しなければいけません。

その場限りの形を点ててばかりでは、美味しいお茶はいつまでも点てられません。

家でお茶を点てて、何服も飲んでみることから始めてみましょう。

まずは自分が飲んで美味しいと思えるようなお茶を点てられるように励んでみるのです。

そこで、お茶の量やお湯の量の程よい加減がわかり、美味しく点てられるコツというものを掴んでいきます。

それが美味しいお茶に近づく秘訣です。

また、美味しいお茶を点てるのにやはり一番大切なことは茶人の姿や心、その臨機応変な働き、調子や精進にかかっています。

こういったものが、全て一つとなり出されるお茶はとても美味しいのです。

人によりお茶の好みや湯の温度の好き嫌いも異なります。

ですから、その人の気持ち、好みを瞬時に理解しようとする心の働きも茶人には必要であります。

そして、毎日、定期的に自分にも相手にもお茶を点て続けることが美味しいお茶を点てられるようになる秘訣であります。

時に稽古中に自服するのも良いでしょう。

稽古の時、お客さんに出したお茶が美味しかったか、不味いお茶だったかを自服することでわかると思います。

稽古でも心のこもった美味しいお茶を点てましょう。

亭主、客という枠を超えて、一体となり、互いの心と心とがぶつかり合った時に、茶の湯の理想郷というものが、絆というものが互いの中で生まれるのだと思います。

点てる人によりお茶の味が全然違うとする意もここにあります。

お茶は心であります。

お茶は働きであります。

兎にも角にも茶三昧。

お茶を常として点て続けてこられた先生のお茶は美味しいのもこのためであると思います。

貴方も好む好まざる好き嫌い関係なくお茶をどうか点て続けてください。

いつの日か美味しいお茶が成就されます。

合掌

常に茶をなして 兎にも角にも茶三昧

茶の服良きは心の福良き

佐々木宗芯

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