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子供茶道体験会でのお話「ある少女の行動」

児童施設の一室をお借りして毎年みんなで行っている子供茶道体験会での話です。

茶道体験会は最初に男性社中の点前に始まり、その後グループに分けられ、子供たちが自ら茶筅を振り、お茶を点て、自分の向こう側に座る相手にお運びするという一連の流れを学ぶ機会であります。

今から二年か三年ほど前のことでしょうか。

第一回の時です。茶道を体験するため子供さん皆々緊張した面持ちとワクワクした様子を見せつつ席にそろりそろりと一人一人入ってきました。

お香が薫空間で子供一人と一人入ると同時に「あーいい香り」「お寺の香り!」「いつもの部屋なのにこんな良い香りになるんだぁ」「お茶の香り!私の好きな香り!」とキラキラした目と愛らしい鼻をくんくんと動かし、それは、それはみんな誠可愛らしい姿でありました。

少しお茶の小話を済まし、礼の仕方とその意味を子供たちに伝え、いざ席が始まります。

点前が始まると子供たちの顔が一瞬で凛々しく変わり、真剣な眼差しで点前の動きを見ています。足をもじもじと痛そうにしている男の子に「優しい座り方でも大丈夫ですよ。」と話しても「大丈夫です!」と足は崩しません。むしろ背筋をよりぴんっと伸ばし新たに臨み始めます。周りの子もつられより背筋を伸ばし始めます。この子供たちの姿には驚かさせると同時に大人も見直されるところが多々と見つかります。その姿を見ていた普段担当している先生の目には優しい涙を見つけたのはここだけの話ですね。

担当している先生に後日お話を聞くと、あんなに子供たちが真面目に臨んでいる姿は見たことがないと思いを述べ「お茶の空気感、と言うのでしょうか。ビックリです」と続き話していました。

体験会が終わり、子供たちの質問コーナーです。ここでも子供たちは活発に手を挙げ、質問をします。次から次に「はい!はい!」と子供たちが手を精一杯挙げる姿は可愛く、立派に見えました。

そして子供たちとお別れをして帰る際、一人の体験会の少女が玄関まで「先生!先生!」とニコニコしながら今にも抱きついて来そうな勢いで走ってきました。そしてその子は玄関の地べたに正座をして手をつき「ありがとうございました!」と言われました。私も少女と同じように正座して「こちらこそ。ありがとうございました。」と話しました。二人して顔を同時に挙げるとその少女は平についた手を合掌にもち直し、満面の笑顔でニコニコしておりました。その後二つ、三つほど会話をしてお別れしました。

あの小さな体から発せられる笑顔と誠の内からでる尊い礼は当時二十か二十一の私にとり、大変思い出深く刻まれています。

それからもその少女は毎年茶道体験会に参加して、活発に学んでいます。そして決まって私が帰る際、玄関まで走り来て正座して御礼してくれます。その少女が始めたその行動を遠くから見ていたお友達も同じようにはじめ、今では玄関で行われる子供たちとのお別れの礼が当たり前になっています。

子供たちの笑顔と思いやりの心に。御礼合掌。

ありありと子の満面笑顔 即ち円満成就

佐々木宗芯

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